2024.05.31
どうもこんにちは。タナカラ&松本経済新聞の山口です。
気温が上がったり下がったりで「爽やか!」という日が少ない今年の5月。
先週末は「クラフトフェアまつもと」も盛況で、今年の「工芸の五月」も終わろうとしています。
そんな中、5月22日には池上邸で、長く手仕事に携わる人の作品を囲んで話を聞き、語り合うイベント「松本に息づく手仕事を聴く」が行われました。
松本・池上邸の蔵で「手仕事を聴く」 地元に息づく芸術文化、語り合う場に(松本経済新聞)
主催は「まつもと市民アーツコレクティブ(仮)」。実は私も縁あって、メンバーとして名を連ねています。
今回は団体として初開催となったイベントの様子を紹介します。
松本・中央にある「ベラミ人形店」の三村隆彦さん、修子さん夫妻を語り手に迎え、蔵の中には、江戸時代から伝わる松本押絵雛や七夕人形を展示。蔵の雰囲気もあいまって、なかなか良い空間です。
当日集まったのは25人ほど。「ベラミ人形店」に行ったことがあるという人がほとんどだったこともあり、和やかな雰囲気で、三村さん夫妻のお話に耳を傾けていました。
まず、お二人のトークが抜群に面白い!「近所の方にトークイベントの話をしたら『夫婦漫才するの?』と言われた」と隆彦さんからありましたが、絶妙なかけ合い、そして何より、お二人が博識で、興味深い話にずっと引きつけられました。
押絵雛は、押絵羽子板のように型に切った厚紙に綿を入れて布で挟み、厚みを持たせて立体感を出して作られたひな人形。羽子板に用いられていた押絵の技法が江戸時代後期に松本に伝えられ、明治時代の中ごろにピークを迎えたと言われています。
…ということは以前取材をしたこともあり、知ってはいました。ただ、実際に「暮らし」の中でどのような存在だったのかということは、あまりピンときていなかったのかもしれません。お二人の話を聞くうちに、この地域で、押絵雛や七夕人形がある「暮らし」のイメージがふわっと浮かんできました。
工芸とは、暮らしや道具の生活品のこと。ただ、そこに「伝統」という言葉が付いて「伝統工芸」となると生活品というところがちょっと遠くなるような気がします。このような機会に、「地域の暮らしとのつながり方」を知ることで、本来の意味に立ち返ることができるのかもしれません。
お二人の話の合間には、参加者からの質問もあり、自由に聞けたり話せたりと、何だかとてもオープンな場になりました。今回、進行を務めた藤原佳奈さんが取材の時にも言っていた「場をひらく」という言葉が、私は好きなのですが、とてもひらかれた場だったと思います。
同じく進行を務めた小林萌さんが手がけた、ビジュアルもとても素敵でした。
「まつもと市民アーツコレクティブ(仮)」の活動は始まったばかり。「芸術文化を通して、街を育む」をコンセプトに、活動実践者の支援、市民が芸術文化と出合う場の創出、既存分野をまたいだ新たな企画立案を3つの柱として取り組んでいきます。今後の活動にも注目です。