2024.10.30
どうもこんにちは。タナカラ&松本経済新聞の山口です。
今回は地域映画「まつもと日和」の話です。
ここでいう地域映画というのは、その地域で撮影された8ミリフィルムの収集からインタビュー、BGMや効果音、販促物や上映会の企画なども地域の人たちが行い、つくりあげる作品です。
松経では制作に向けた8ミリフィルムの募集の記事から始まり、
■松本の日常伝える「地域映画」制作へ 市内で撮影した8ミリフィルム募集
集まった8ミリフィルムで1作目が完成し、
■地域映画「まつもと日和」完成 市民から集めた8ミリフィルムで新たなつながりを
その後、1作目に登場する映画監督・山崎貴さんが市美術館で行った特別展に合わせての上映会を紹介し、
■松本で地域映画「まつもと日和」上映会 山崎貴監督の「幻のフィルム」も登場
そして今回、2作目となる「まつもと日和2」完成上映会です。
■松本で地域映画「まつもと日和2」完成上映会 映像で過去・現在・未来つなぐ
完成上映会は10月26日・27日の2日間、信毎メディアガーデンで行われました。
2作目&1作目の上映から、アフタートーク、ライブ、ビューワー体験などのワークショップ、フード・ドリンクブースの出店まで、「8ミリだヨ!全員集合」(オープニングの音楽が脳内再生するドリフ世代…笑)と銘打たれたイベントは盛りだくさんの内容でした。
8ミリフィルムは1950~70年代に一般家庭に普及した映像記録フォーマット。映写機がないと再生できないため、撮ったまま眠っているフィルムが数多くあります。市民団体「まつもとフィルムコモンズ」が呼びかけると、1作目、2作目ともに350本近くの8ミリフィルムが集まったとのこと。映画には、それらをデジタル化した映像だけではなく、提供者に見てもらう様子やインタビューも収められています。
8ミリフィルムに記録された頃の松本をわたしは知らないはずなのに、なんとも言えないノスタルジーを感じます。でも、1作目でも思ったのですが、この映画の魅力は「懐かしさ」だけではありません。本作でいえば、松本深志高校の西穂高岳登山落雷遭難、本町商店街の再開発といった、地域の記録を後世に伝える役割。そして、インタビューや、BGMや効果音の制作など、地元の小学生を含めた幅広い世代の人々が携わったドキュメンタリー部分が、今、そして未来を思わせてくれます。
2日目の夜には座談会が行われました。最終上映の後にそのまま残った人や、別の回の上映を観て「感想を話したい」と足を運んだ人、そして「まつもとフィルムコモンズ」のメンバーなど30人ほどが車座になって、感想を一言ずつ話していきます。
・昔の実家や、自分の子どものころはこうだったなーと思いだした
・その場にいなかったのに、懐かしさを感じる
・映像はとにかく人が多い。昔は皆、集まっていた。集まることから生まれるものもある
・撮った人、撮られた人、映像にはどちらも残っている
・本当に人生の縮図、宝ものを見せてもらった
・その時のその人の思いがつながって、その連鎖の中に自分もいる
「まつもとフィルムコモンズ」のメンバーには信大生も多く、自分が生まれる遥か昔の映像を見ながらインタビューを行うなど、制作にかかわっています。満席も出たという上映会の盛況ぶりや、鑑賞する皆さんの表情やコメント、そこに無事にイベントが終わったという安堵感も加わったのか、感極まるメンバーも多くいました。
さまざまな思いが語られる中、こういう場が生まれることが、地域映画の持つ力だなあと思いました。
日常が綿々と繰り返されることでつくられてきたその地域ならではの暮らし。映画の冒頭に出てくる「地域の生活史」という言葉がまさにぴったりです。
今後も上映会が企画されると思うので、機会があればぜひ!